旧車ブームの兆し−

 

家がジャパンを買い換えてから約10年後の平成4年頃、僕は20歳の大学生でC32ローレルに乗っており、ジャパンの事はすっかり忘れていた。ちょうど僕が免許を取得した18歳の頃、ジャパンは「ポンコツ」と呼ばれる系の車で、中古車屋でもあまり見かけずどちらかというと良く捨ててあったり、ヤン車の中でもかなりグチャグチャなのが多かった。ジャパンにはそんなイメージを持っていた。そんな20歳のある日の事。大阪に住んでいた僕は1人フラフラと松原市周辺の中環をドライブしていた。すると箱スカやS30がずらりと並んだ中古車屋を発見した。その頃そういう車に対して「渋い」という感情を持ち始めたばかりだったので、興味本位で思わず立ち寄ってしまった。普段、写真でしかほとんど見ない箱スカやS30を眺めて「へぇ〜、実際見ると小さいんだなぁ〜」などと思いつつ、カーウォッチングをしているとおくの方にノーマルな2ドアの前期ジャパンがいた。

「おっジャパンだ!懐かしいなぁ〜」と思い近づいて行くと、店の主人が出てこられた。「ええやろう!このジャパン」と言われ、色々説明してくれた。そのジャパンは確か78万円で、今はノーマルだけど注文を受けた後、L28改3.1Lソレタコデュアル仕様にして、オーバーフェンダーも前後に付けて、なおかつ好きな色に塗ってその値段だというのだ。購入を考えて見ていた訳ではないので、高いとか安いという感情は特になかったが、ジャパンをキャブにするとか、ヤン車のジャパンはともかく、そういうノリでも無いのにケンメリRみたいにバーフェンを付けたりするという事は想像だにしていなかったので「ジャパンもそんな正当派な旧車みたいにして乗る車になってたんだぁ・・・」と思い、妙に関心が出てしまった。C32に乗っていたので、あまり相手にされないかと思っていたが、昔家が乗ってた話などをしていたら、話が盛り上がってとても嬉しかった事を覚えている。

しばらく、そのジャパンの事が忘れられず、学生なので経済力が無かったため「買おう」とまではいかなかったが、78万円という決して夢では無い金額に、色々想像をめぐらせてしまった。買うわけでも無いのに「何色がいいかなぁ、白に黒いバーフェンでケンメリR風も良いし、どうせ塗ってくれるならソリッドのオレンジにボンネットだけ黒とかのベレG風も渋いかも・・・」なんて事を考えたり、挙げ句の果てには想像の中で大学に乗り付けて、学校帰りに女の子に「乗せてって」と言われて「あ〜、ちょっと悪いケド女の子乗せない事にしてるから・・・」なんていうシチュエーションにまでなったりしていた。(だいぶ不健康だね)

←僕の頭の中でキザな役目?を果たしてくれる予定のジャパン想像図(カーコラです)